はじめに
「今年は台風が多い」――2026年、そう感じた人は多いのではないでしょうか。
身近な“思い込み”を公的なデータで確かめる「本当なの?」シリーズの1回目は、この台風の話です(シリーズを始めた理由は序章に書きました)。
読み進める前に、ちょっと予想してみてください。2026年の台風は、過去と比べて多いでしょうか?
「台風が多い」といっても、数え方はいくつかあります。この記事では、気象庁の「台風の統計資料」にある次の3つの数を使います。
| 数 | 気象庁の定義 |
|---|---|
| 発生数 | 北西太平洋(南シナ海を含む)で発生した台風の数 |
| 接近数 | 台風の中心が、国内のいずれかの気象官署などから 300km 以内に入った数 |
| 上陸数 | 台風の中心が、北海道・本州・四国・九州の海岸線に達した数 |
2026年の値は、気象庁が公開している 2026年10月16日現在の速報値です(2026年10月27日に取得)。後から変わることがあり、10月16日より後の台風は入っていません。「平年」は気象庁の平年値と同じ 1991〜2020年の30年平均です。
年の途中の数を過去の1年分と比べると、2026年が不利になります。そこで、主に1〜9月の合計どうしで比べました(気象庁の月別の数を足して計算)。
結果:多いのは「発生」だけだった
先に答えを出すと、こうなりました。
| 1〜9月の合計 | 2026年 | 平年 | 1951年以降の76年の中での順位 |
|---|---|---|---|
| 発生 | 27個 | 18.5個 | 5番目(1966年も同じ数) |
| 日本への接近 | 11個 | 10.3個 | 出していない(下の注) |
| 日本への上陸 | 3個 | 2.7個 | 19番目(ほかに20の年が同じ数) |
発生は明らかに多いのに、日本に近づいた数・上陸した数は平年並みでした。
1〜9月の接近数は、気象庁の月別の接近数を足したものです。2か月にまたがって接近した台風は両方の月に数えられるため、年間の数より多くなることがあります(2026年も、月別の合計は12個、年間の数は11個)。二重に数える数は年ごとに違い、順位が前後するおそれがあるので、接近数の順位は出していません。
1〜9月の発生は「32年ぶり」の多さ
2026年の発生数は、10月16日の時点で 30個。平年の1年分(25.1個)を、年末を待たずに超えています。
1〜9月の27個を超えるのは、1967年(31個)・1971年(30個)・1965年(28個)・1994年(28個)の4つの年だけです。1〜9月で比べると、1994年以来、32年ぶりの多さでした。
1年分の数は、年末まで決まりません。10月16日時点の30個は、1996〜2025年の30年の1年分と比べると、2013年(31個)に次ぐ数です。
ほかにも、記録に並ぶ月がありました。
- 8月に10個発生した。8月の平年は5.7個で、10個は1960年・1966年と並ぶ最多
- 1月から4月まで毎月発生した。1951年以降、1〜4月のどの月にも台風が発生したのは1955年・1965年・2015年と2026年の4回だけ
それでも、日本に来た数は平年並み
一方で、日本への接近は10月16日の時点で 11個、平年の1年分は11.7個です。1〜9月で比べても11個と、平年(10.3個)とほぼ同じでした。
上陸も 3個で、平年の1年分(3.0個)と同じです。
発生した台風のうち日本に接近した割合を、1〜9月どうしで出すと、平年(1991〜2020年の1〜9月の合計どうし)は 55%、2026年は 41%(11個 ÷ 27個)でした。たくさん発生したものの、日本に近づかなかった台風が多かったことになります。
この割合も、接近数は月別の数を足したもの(上の注)で計算しています。二重に数える分は平年の側にも入っているので、割合の大きさそのものより、平年との差を見てください。
もう一つの発見:6月に2つ上陸していた
数は平年並みでも、時期には珍しさがありました。
- 6月に2個上陸した。6月の上陸の平年は0.2個で、2個は1997年・2004年と並ぶ最多
- 6月の接近も 3個。1951年以降で6月に3個以上接近した年は、2026年を入れて8回
梅雨の時期に台風が続けて上陸したことが「今年は多い」という印象につながったのかもしれません。ただ、印象がどこから来たのかは、このデータからはわかりません。
ちなみに、上陸は北海道・本州・四国・九州が対象なので、沖縄や奄美に台風の中心が来ても「上陸」には数えません。沖縄・奄美への影響は接近数の方で数えられています。
まとめ
- 「2026年は台風が多い」は、発生数で見れば本当。1〜9月で27個は1994年以来32年ぶりの多さで、10月16日の時点で平年の1年分も超えた(1年分の順位は年末まで決まらない)
- 日本への接近・上陸で見ると平年並み。発生した数のわりに、日本に近づいた台風は少なかった
- 6月に2個上陸(最多タイ)、8月に10個発生(最多タイ)、1〜4月に毎月発生など、時期の面では珍しい年だった
- 2026年の値は10月16日現在の速報値で、年末までに増える可能性がある。「多い」という印象の理由は、このデータからはわからない
次回も、身近な「本当なの?」をデータで確かめます。この連載の記事は、「本当なの?」の一覧でまとめて読めます。
おまけ:台風が多かった年
1951〜2025年の1年分の数で、多かった年の上位3つです(同じ数の年はすべて載せています)。
| 数 | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 発生 | 1967年(39個) | 1971年・1994年(36個) | (2位が2つ) |
| 日本への接近 | 1960年・1966年・2004年(19個) | (1位が3つ) | (1位が3つ) |
| 日本への上陸 | 2004年(10個) | 1990年・1993年・2016年(6個) | (2位が3つ) |
- 2004年は、上陸が10個で2位の6個を大きく引き離し、接近も1位に並ぶ年でした
- 2026年の発生数(10月16日時点で30個)は、まだこの上位には届いていません
出典
- 気象庁「台風の発生数」(協定世界時基準。2025年までは確定値、2026年は10月16日現在の速報値)
- 気象庁「台風の接近数」(同上)
- 気象庁「台風の上陸数」(同上)
- 気象庁「台風の平年値」(1991〜2020年の30年平均)
- 気象庁「台風の順位」(おまけの上位の年の照合に使用)
いずれも2026年10月27日に取得。1〜9月の合計・順位・割合は、これらの表の月別・年別の数から計算しました。
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